【今回の内容は?】
遺言書があれば、財産の分け方に自分の意思を反映でき、相続時の遺産を巡るトラブルを回避する有効な手段になります。
中でも、「自筆証書遺言」は、公証役場に行く手間や証人を依頼する労力もなく、自分一人で費用をかけずに作成できることが大きな魅力です。
ただし、自分一人で完結できるだけに、遺言書が法的な効力を有するために必要な要件を満たさず、無効となるケースがあります。
今回は、自筆証書遺言が無効となる10のケースを紹介します。遺言書作成の前ににどのような場合に無効になるのかを知っておいてください。
【目次】
0:00 オープニング
0:12 概要説明
01:06 日付が正しく書かれていない
01:48 氏名が手書きで書かれていない
02:26 印を押していない
02:56 加筆や修正がルールに従っていない
05:31 財産目録以外のすべてを自書していない
06:11 財産や相続人の指定が不明瞭
07:27 実在しない財産が記載されている
07:59 遺留分を侵害している
08:28 公序良俗に反する
08:50 本人の正常な意思で書かれたか疑わしい
09:46 まとめ/お問い合わせ情報
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【要約】
1 日付が正しく書かれていない遺言書
令和〇年〇月吉日などでは、日付が特定できませんから、条件を満たしたことになりません。
また、スタンプ印も無効となってしまいます。
日付は「自書」しなければならないことにも注意が必要です。
遺言書には、作成日を自筆で記入することが必須で、「令和〇年〇月〇日」など、年月日を特定できる書き方をしなければなりません。
2 氏名が手書きで書かれていない遺言書
氏名がワープロ打ち、スタンプ印は無効となります。
氏名を手書きで書くことは必須で、手書きによる署名がない自筆証書遺言書は、無効となってしまいます。
遺言者自身が、自分の氏名を「自書」しなければなりません。
また、遺言書を共同で作成することはできませんから、必ず一人の遺言者名だけを書かなければなりません。
3 印を押していない遺言書
捺印も必須条件で、印を押していない自筆証書遺言は無効です。使用する印は、実印でなければならないとの規定はありませんが、偽造を防ぐためにも極力、実印を利用することをおすすめします
4 加筆や修正がルールに従っていない遺言書
加筆や修正の方法については厳格な規定があるため、従っていない場合は、その部分が無効になります。
加筆や修正が無効になれば、前の内容に戻ってしまい、意図しない遺言書になってしまいます。
それでは「修正」や「加筆」方法を見ていきましょう
・「修正」
修正する箇所には二重線を引き、その近くに押印するとともに、横に正しい文字や数字を追記します。
なお、押印の際は、消した文字や追記した正しい文字などが見えるように印を押すことに、注意が必要です。
見えない部分があれば、記載がないものとみなされる恐れがあります。
・「加筆」
加筆する場合は、挿入の記号で場所を示したうえで、文字や数字を追記し、その近くに押印します。
押印の際は、修正の場合と同様、元の文字や数字、追記した文字や数字が印で隠れてしまわないように注意しなければなりません。
・「共通」
修正や加筆ができたら、遺言書の行頭や末尾の余白部分に「〇字削除〇字加入」「〇字加入」などと自書し、さらに署名する必要があります。
※加筆修正による無効を避けるためのヒント
加筆修正が正しくないことによる無効を避けるためには、すべて書き直すことをおすすめします。
また、遺言書本体の文字数を減らすことができ、書き間違えなどを防止できる方法として、財産目録を作成する方法がおすすめです。
財産目録は、パソコン利用や代筆によって作成できるとともに、不動産登記簿や通帳コピーなどの既存の資料でも代用できるため、容易に作成できます。
財産目録によって間違いのない財産の指定ができれば、遺言書の本文では財産目録の番号などだけを指定すれば済み、間違いが減ります。
5 財産目録以外のすべてを自書していない遺言書
2019年の民法改正により、財産目録を作成する際にパソコン利用や代筆、既存資料の利用が認められました。
ただし、遺言書本体を自書することについては、従来と変わりがありません。
同様に、自筆ではない、CDやDVD、メモリーなどの電子記録媒体に録音や録画した遺言も効力が生まれず、無効です。
6 財産や相続人の指定が不明瞭な遺言書
財産の指定、相続人の指定などに曖昧な部分があれば、その部分は無効で、相続人に混乱やトラブルを引き起こす恐れもあります。
たとえば、不動産を指定する場合には、登記簿に記載されている必要事項を正確に記載しておかないと、明確にならないケースもあります。
土地が分筆や合筆されているケースや、建物を増築後に登記していない場合などは、不動産を特定することができません。
財産の指定は、不動産なら不動産登記簿、預貯金なら通帳のコピーなどを資料として利用する方法が確実でしょう。
また、たとえば、相続人の名前に、読みが同じで異なる漢字を使用しているような場合は、正確に特定できないことになってしまいます。
相続人の指定は、続柄や氏名、生年月日、住所を組み合わせて正確に特定できるよう記載することが重要です。
7 実在しない財産が記載されている遺言書
すでに生前贈与や売却した財産などがあっても、勘違いや覚え違いなどで、遺言書に記載してしまうケースがあります。
遺言書に記載したものの、相続財産と一致するものが実在しない場合は、その記載が無効になるだけでなく、混乱の原因です。
8 遺留分を侵害している遺言書
相続人には、被相続人が死亡したあとの生活保障を図るため、最低限の取り分が保障される遺留分と呼ばれる権利があります。
相続人の遺留分を侵害する遺言は、相続人からの請求によって覆され、該当部分が無効になります。
9 公序良俗に反する遺言書
代表的な例として、愛人への贈与が知られていますが、不倫な関係の維持継続のためなど、公序良俗に反する遺言は無効になります。
10 本人の正常な意思で書かれたか疑わしい遺言書
遺言書としては要件を満たして有効なものでも、相続人からの「遺言無効確認の訴え」によって無効になるケースもあります。
たとえば、正常な判断能力がない方に対し、特定の人物が有利になるよう、誘導して遺言書を書かせるような悪質なケースもありました。
このような事態を避けるためには自筆の遺言でなく、公正証書遺言を作成することをお勧めします。公正証書遺言の場合は、公証人によって選別がされているということで遺言能力に問題なしと判断される傾向が強くなるからです。
(※ただし公正証書遺言を無効とする裁判例も存在します)
まとめ
自筆証書遺言は、自分一人で完結できる反面、遺言書としての要件を満たしていないミスが発生しやすいデメリットがあります。
作成する前に、法的な効力が発生するための書き方を把握しておくことは、もちろん重要なことですが、作成後の確認も大切です。
有効な要件を満たしているかどうかをチェックしたら、時間を置いて、無効になるケースに該当しないかどうかを改めてチェックすると安心です。
なお、それでも不安や心配が残る場合は、相続を専門に扱う弁護士や司法書士・行政書士など、専門家に相談することをおすすめします。
【Webでもっと詳しく】
https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/yuigonsyo-merit/inher-invalidwill/
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【この動画に登場した税理士のプロフィール】
古尾谷 裕昭(ふるおや ひろあき)
1975年生まれ。東京都浅草生まれ
趣味:ランニング&スイミング
明治学院大学経済学部卒業、税理士事務所勤務を経て2006年に古尾谷会計事務所(後に税理士法人FIS)設立。2012年にベンチャーサポート税理士法人と合併。
現在はベンチャーサポート相続税理士法人(相続サポートセンター)代表税理士
「相続人に寄り添った親身な対応」をモットーに相続税・贈与税などに悩む個人のお客様のサポートにも多く携わる。
年間の相続税申告件数1,500件超、相続に関する月間ご相談件数800件超
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東京・埼玉・横浜・名古屋・大阪など全国18拠点スタッフ1,000名が対応。
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