“アナログレコード”人気再燃 OKAMOTO’Sが語る魅力

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スマホで音楽を聞くなどデジタル音源の台頭で消滅寸前だったレコード。今、若い人を中心に再び人気が高まっています。そのワケは?

■「あえて手間がかかるレコードで」アナログレコード人気再燃

若者を中心に支持されるロックバンドOKAМOTO’S。
今、音楽を作る上で熱い視線を送るものがあります。

OKAМOTO’S オカモトショウさん(ボーカル)
「よりデジタル化が進んでるからこそ、このレコード、この音楽を俺が持ってるという所有欲を、まさに今並べるだけで、ちょっと満たしてくれている感じはあります」

OKAМOTO’S オカモトコウキさん(ギター)
「CDはCDの良さがまた別にあったりするんですけど、レコードっぽい良さみたいなのも実際にすごくありますね」

レコード人気を象徴するのが、東京・渋谷に9月にオープンした国内最大級のアナログレコード専門フロアです。
約7万枚のレコードを揃え、11月に行われた「レコードの日」というイベントには大勢のファンが押し寄せました。

数年前からレコード収集をしている会社員(23)
「レコードバージョンの復刻版が出て欲しかったので買いました。レコードで聴く良さだったり、雰囲気の良さがあるので、レコードが出たら買うようにしています」

親子でレコード収集 息子(16)
「僕の聴いている音楽が70年代とか80年代のものが多いので、アナログで聴くのが一番いいのかなと思ったので」

記者
「息子さんがレコードを聴いていることについてどう思う?」

親子でレコード収集 父親(44)
「一緒に聴いていて楽しい」

店内には懐かしの定番だけでなく、若い世代に人気のアーティストのレコードも多く見受けられます。

タワーヴァイナル渋谷 担当者
「やはりレコードの発売量が増えてるっていうのは大きいですね。今までよりも全然リリース量が増えていますので、それに伴って売り上げも伸びている状況ですね。もうちょっと音楽と真剣に向き合いたいみたいなところで、あえて手間がかかるレコードで時間を作って、音楽を聴く、楽しむっていうようなお客さんが増えてますね」

■レコード工場は24時間フル稼働

レコードの生産現場にも大きな変化が。静岡県焼津市のソニー・ミュージックソリューションズでは、連日24時間フル稼働だというのです。

レコードを製造する“心臓部”に入ると、イギリスのロックバンド「オアシス」の限定ベスト盤、半透明のレコードを作っていました。

熱した塩化ビニールの樹脂を音の溝をつけたA面B面の原盤でプレスします。

レコード工場担当者
「出てきました。この塊をプレスする。塊をプレスするときにA面B面にはプレスの原盤が金型の上下についている。それが音溝の入った原盤です。音溝の原盤をプレスすることによって、音が出るアナログレコードができる」

押し出されてはみ出た部分をカットし、アナログレコードが完成です。

ソニー・ミュージックソリューションズでは、最盛期には50台のプレス機を使って生産していましたが、1989年にレコード事業から撤退。しかし、徐々に高まるレコード人気に後押しされるように、2018年、約30年ぶりにレコードの生産を再開させたといいます。

レコード工場担当者
「24時間の3交代制で土日も含めてフル稼働という状況になっています。稼働させるにあたっても、私たちは知見がないので、OBの方々に来ていただいて、いろいろ教えてもらいながら、今回立ち上げを行ったという状況です」

国山ハセンキャスターも、初めてレコードに針を落とします。その手はおぼつかないようです。

(レコードの音)

国山キャスター
「おお、聴こえてきましたね」

日本レコード協会によりますと、アナログレコードの生産額は2010年に1億7000万円まで落ち込みましたが、少しずつ息を吹き返し、この10年で12倍以上に増加しました。

サブスクなど、デジタル環境で聴くことに慣れたこの時代。なぜ再びレコードが脚光を浴びるのでしょうか?

レコード鑑賞が趣味の都内在住の女性(31)
「去年にここの部屋に引っ越してきたばかりなので、去年の4月から買ってこの量です」

2020年から本格的に集め始めたレコードはあっという間に500枚に達したそうです。

レコード鑑賞が趣味の都内在住の女性(31)
「よりいい音で聴きたくて、色々なおすすめを教えてもらったりしながら、この針とか、実際に聴くと音が全然違うなということもあるので」

温かみのある音に魅了され、部屋にはDJ用のシステムを構築してしまいました。

レコード鑑賞が趣味の都内在住の女性(31)
「サブスクのサービスも利用しているんですけど、やっぱりいろんな音楽が気軽に知れちゃう分、1つ1つの思い入れっていうのが分散しちゃうというか。ひと手間が加わることで、楽しさを感じるというか。あとやっぱり物として持っていると、どんな気持ちで、このとき自分が買ったとか、どういうものに興味を持って、その音楽を聴いていたかというのがすごく強く思い出される。そういう気持ちがあったので、やっぱり物として持っておきたいなというのがありますね」

■レコードは芸術作品そのもの

レコード制作にも力を入れるOKAМOTO’S。レコードはアーティストによる芸術作品そのものだと語ります。

OKAМOTO’S オカモトショウさん(ボーカル)
「やっぱり音楽もアートピースの一つでもあると思うんですよ。人が、誰かが書いた絵画とかと、ある種、近い部分があると思っていて。デジタルできれいに記号化して必要なものだけ抜き取った情報っていうのじゃない音圧だったりとか、迫力、温かみが他とは違う魅力の一つだと思いますね」

これからレコードに触れる人たちに、こんな思いを感じてほしいといいます。

OKAМOTO’S オカモトショウさん(ボーカル)
「曲順、曲と曲の間の秒数とかも含めて、アーティストは細かく考えて計算してアルバム1枚を作っているので、もしかしたら今までは感じなかった良さみたいなのを感じてもらえるかもしれないなと。この話を聞いて改めて聴いてみてもらえたら嬉しいですね」

OKAМOTO’S オカモトコウキさん(ギター)
「レコードを聴く時って割と集中して聴くという感じになって、なかなかそういう瞬間って日常生活の中でないと思うので、それをぜひ味わって欲しいなと思いますね」

(以下、スタジオでのトーク)

国山キャスター:
私、初めて針を落として音が違うとか言ってしまいましたけれども、本当に臨場感を味わうことができました。過去の楽曲を聴くと、目の前にアーティストがいるかのような、タイムスリップしたかのような感覚でして。そういったアーティストのこだわりがわかる「レコードの音」というのは、もう音そのものの付加価値が高いんじゃないかなというふうに感じましたね。

小川彩佳キャスター:
それからレコードを聴くという行為自体が付加価値のようにもね、感じますよね。針を落とすその瞬間からストーリーが始まっていくというか。何もかもが手軽な時代だからこそ、こういった手間をかけることに豊かさを覚える方が増えているんでしょうか。

国山キャスター:
ちょっと買ってみようかなと思いました。(20日23:42)

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